
撮影現場でこんな疑問を持ったことはありませんか?
「音響さんのミキサーは0dBを超えているのに音は割れない。」
「でもビデオカメラは0dBを超えると音が割れる。」
どちらも「0dB」と表示されているのに、なぜこんな違いがあるのでしょうか?
実は、この疑問が分かると、なぜカメラの音声レベルは余裕を持って録音しなければならないのかも理解できます。
今回は少しだけ音の仕組みを掘り下げてみましょう。
まず結論
実は、音響さんの0dBと、ビデオカメラの0dBは全く別物です。
同じ「0dB」という表示でも、
基準が違うため比較できません。
ここが一番大切なポイントです。
音響さんの0dBとは?
PAミキサーのメーターを見ると、
演奏中は0dB付近まで普通に振れています。
時には+3dB、+6dBくらいになることもあります。
それでも音はきれいに聞こえています。
なぜでしょう?
答えは「ヘッドルーム(余裕)」があるからです。
ヘッドルームとは?
簡単に言えばまだまだ歪まない余裕のことです。
例えば道路で例えると…制限速度が60km/hの道路でも、
車は100km/h以上出せますよね。
普段は60km/hで安全に走り、追い越しや坂道などで少し余裕があります。
音響機器もこれと似ています。
0dBは「普段ここで運用してくださいね」という基準。
実際に歪み始めるのは、もっと上なのです。
だから少し0dBを超えた程度では問題ありません。
ビデオカメラは考え方が違う
ビデオカメラは音をデジタルデータとして記録しています。
デジタルには絶対に超えられない上限があります。
これが「0dBFS(Full Scale)」です。
Full Scaleとはデジタルで記録できる最大値という意味です。
つまりカメラの0dBは「これ以上は存在しません」という限界なのです。
0dBを超えると何が起きる?
例えば拍手や歓声など、突然大きな音が入ったとします。
本当なら滑らかな波形になるはずですが、カメラはそれ以上記録できないため、
波形の頭が切り落とされます。
これを「クリッピング」と言います。
クリッピングした音は
「バリッ」
「ガリッ」
という耳障りな音になります。
しかも、後から完全に直すことはできません。
だから撮影では余裕を残す
映像業界では普段の音が
-20〜-12dBFS
くらい。
大きな拍手でも
-6~-3dBFS
程度になるよう調整することが多いです。
これなら突然大きな音が来てもまだ余裕があります。
「小さい音」は編集で大きくできる
新人スタッフから
こんな質問を受けることがあります。
「もっと0dBギリギリまで録った方が音が良くないですか?」
昔のアナログ録音では、
できるだけ大きく録ることにも意味がありました。
しかし現在のデジタル収録では、話は変わります。
多少音が小さくても、
編集ソフトで簡単に持ち上げることができます。
しかし一度クリッピングした音だけは元には戻りません。
つまり
小さい音は救える。
割れた音は救えない。
これがデジタル収録の基本です。
映像スタッフが覚えておきたい考え方
撮影現場では音を大きく録ろうとするのではなく、
安全に録るという考え方が重要です。
そのためには
- 入力設定(LINE/MIC)を確認する
- メーターだけでなくヘッドホンでも確認する
- 余裕を持ったレベルで録音する
- 大きな歓声や拍手が来ることを想定する
この4つを意識するだけで、音声トラブルは大きく減らせます。
まとめ
「0dB」という表示は同じでも、
音響機器とビデオカメラでは意味がまったく違います。
- PA卓の0dB=運用の基準(まだ余裕がある)
- ビデオカメラの0dBFS=デジタルの限界(超えたら音が割れる)
この違いを理解しているだけで、
現場で慌てることは少なくなるでしょう。
ビデオ工房名古屋のワンポイント
弊社でも撮影時は、「0dBギリギリを狙う」のではなく、「余裕を残して確実に録る」ことを徹底しています。
イベントでは、突然の拍手や歓声、マイクを近づけた瞬間の大きな声など、予想外の音が発生することは珍しくありません。
映像は多少暗くても補正できることがあります。
音は一度割れてしまうと、元の音には戻せません。
だからこそ、私たちは「少し小さめでも、きれいな音で残す」ことを大切にしています。
ビデオ工房名古屋では、各種イベントのビデオ撮影・記録撮影を行っています。
撮影や映像制作についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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