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HDVの方が綺麗だった? 初期AVCHDで多くのカメラマンが感じた違和感の正体

約5分

「なんとなくHDVの方が綺麗だった気がする…」【お役立ちコラム】

ビデオ撮影を長く続けている方なら、一度はそんなことを感じたことがあるかもしれません。

弊社でも、かつてはHDVテープを使った業務用カメラで撮影を行っていました。その後、時代の流れとともにSDカードなどの大容量メディアに記録する方式のカメラへ移行しました。

中でもAVCHDは、もともと民生機向けに作られた規格ですが業務用機材でも導入が進められ多くの機材に採用されました。
「テープ交換が不要」「撮影後すぐパソコンへ取り込める」など、AVCHDには大きなメリットがありました。
しかし、使い始めた当時は正直なところ…
「なんとなくHDVの方が画質が良かったような気がする…」
そんな印象を持っていました。

実はこの感覚、多くのカメラマンが経験していたものだったのです。


HDVとAVCHDはどちらが高画質?

結論から言えば、
規格としてはAVCHDの方が優れています。

HDVはMPEG-2という圧縮方式を採用し、約25Mbpsで記録していました。
一方、AVCHDは現在でも広く使われているH.264という、より高性能な圧縮方式を採用しています。

同じビットレートなら、H.264の方がより高画質に記録できるのは間違いありません。
では、なぜ当時はHDVの方が綺麗に感じたのでしょうか?


理由は「技術がまだ成熟していなかった」から

AVCHDが登場した頃のカメラは、まだ発展途上の時代でした。

H.264は非常に高性能な圧縮方式ですが、その分、映像を圧縮するための計算量はMPEG-2よりもはるかに多くなります。
現在ならスマートフォンでも簡単に処理できますが、当時のカメラは今ほど高性能ではありませんでした。
限られた消費電力、小さなボディ、発熱の制約の中でリアルタイムにH.264へ圧縮していたため、メーカーも様々な工夫をしていました。

その結果、

  • ノイズを強めに消す
  • 細かな模様を少し滑らかにする
  • 圧縮しやすい映像へ調整する

といった処理が行われることもありました。


「葉っぱが溶ける」「衣装の模様が潰れる」

当時のレビューでもよく話題になっていたのが、

  • 木の葉がぼやける
  • 芝生が塗り絵のように見える
  • ダンス衣装の細かな柄が潰れる
  • 紙吹雪や紙テープが苦手

といった現象でした。
逆にHDVはMPEG-2という比較的シンプルな圧縮方式だったため、細かなディテールが自然に残る場面もありました。
もちろんブロックノイズは出ることがありますが、
「少し粗くても自然な映像」
という印象を受けることも多かったのです。


バッテリーの減りが早かったのもその影響?

当時AVCHDのカメラを使っていて、
「バッテリーの減りが早いな…」
と感じた方も少なくないと思います。

これも実は同じ理由です。
H.264の圧縮は非常に多くの計算を必要とします。

つまりカメラの中では、小さなコンピューターが常にフル稼働しているような状態だったのです。
現在のカメラは専用チップの性能向上や省電力化が進み、同じH.264系の圧縮でも驚くほど長時間撮影できるようになりました。


それでもAVCHDが普及した理由

AVCHDには画質だけではない大きなメリットがありました。

  • テープ交換が不要
  • 撮影後すぐ編集できる
  • ランダムアクセスで頭出しが速い
  • SDカードが小型・軽量
  • 可動部が減り故障も少なくなる

現在では当たり前になっていますが、当時としては非常に画期的でした。


現在のH.264は別物

現在の業務用カメラでは、

  • XAVC
  • XAVC S
  • XF-AVC

など、H.264をベースとした高性能な記録方式が主流です。
カメラ内部の画像処理エンジンも大幅に進化し、初期AVCHDで感じられた違和感はほとんどありません。
色再現や解像感、暗所性能も飛躍的に向上しています。


「HDVの方が綺麗だった」は間違いではない

当時感じていた違和感は、決して気のせいではありませんでした。

正確には、
「成熟したMPEG-2」と「まだ発展途上だったH.264」の違い
を感じていたのです。

映像技術は、いつの時代も制約との戦いです。
新しい技術が登場した直後は、必ずしも前の技術をすべて上回るとは限りません。

しかし、その制約を一つひとつ乗り越えながら、現在の高画質・高効率な映像技術へと進化してきました。
昔のHDVカメラを知っている方なら、「そうそう、そんな時代だった!」と懐かしく感じていただけるのではないでしょうか。


編集後記

映像制作の世界では、新しい技術が登場すると「新しいから良い」と思われがちです。
しかし実際には、その技術が成熟するまでには数年かかることも珍しくありません。

HDVからAVCHDへの移行期は、まさにそんな過渡期でした。

今では4KやH.265が当たり前になりつつありますが、将来振り返ったときには「昔の4Kカメラはこんな特徴があったね」と語る日が来るのかもしれません。

映像技術の進化を振り返ると、その時代ごとの苦労や工夫もまた、映像制作の面白さの一つだと感じます。


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