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CCD最強時代はなぜ終わった?~「CMOSなんて安物」と言われた時代から、世界中のプロ用カメラがCMOSになった理由~【お役立ちコラム】

約6分

「昔はCCDじゃないとダメだった。」
長く映像業界にいる方なら、一度はそんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

実際、2000年代前半までは
「CCD=高画質」「CMOS=安価なカメラ向け」
というイメージがありました。

しかし現在では、映画撮影用の数千万円クラスのカメラから、放送用カメラ、一眼カメラ、さらにはスマートフォンまで、そのほとんどがCMOSを採用しています。

一体何が変わったのでしょうか?


CCDとCMOSは何が違う?

CCDもCMOSも、どちらも
「光を電気信号に変える撮像素子」
です。

違うのは、その後の電気信号の読み出し方法です。


CCDは「バケツリレー方式」

CCDは、それぞれの画素で受けた光を電気信号に変えたあと、隣の画素へ、また隣へと順番に送りながら、一か所の出口まで運びます。

まるで運動会のバケツリレーのような仕組みです。

そのため、

  • 全画素を同じ回路で読み出せる
  • 画素ごとのばらつきが少ない

という大きなメリットがありました。

当時は非常に美しい映像を実現できたため、高級機のほとんどがCCDを採用していました。


CMOSは「一人ひとりが出口を持っている」

一方CMOSは、各画素に小さな回路(アンプなど)が組み込まれています。
そのため、一つひとつの画素が直接データを読み出せます。
現在では当たり前の方式ですが、当時はこの構造が弱点でもありました。


昔のCMOSは本当に性能が悪かった

今では想像しにくいかもしれませんが、昔のCMOSは実際にCCDより性能が劣っていました。

例えば…

ノイズが多い

画素ごとに回路があるため、ばらつきが発生しやすく、暗い場所ではザラザラした映像になりがちでした。


感度が低い

画素の中に回路があるため、光を受けられる面積が小さくなっていました。

その結果、CCDより暗所撮影が苦手でした。


色の再現性もCCDが有利

当時の放送用カメラを見ると、

  • 色乗り
  • 階調
  • 発色

などはCCDの方が一枚上と言われていました。

そのため、
「CCDこそ本物」
という評価が一般的だったのです。


「3CCD」は高級カメラの証

昔の業務用ビデオカメラでは、
3CCD
という言葉をよく見かけました。

これは、レンズから入った光をプリズムで

  • 赤(R)
  • 緑(G)
  • 青(B)

の3色に分け、
それぞれ専用のCCDで受ける方式です。
一つのセンサーで色を補間するのではなく、
RGBそれぞれを専用センサーで撮影する
ため、非常に自然な色再現が可能でした。

当時はまさに高級機の代名詞だったのです。


では、なぜCMOSが逆転したの?

その理由は、一つではありません。


① センサーそのものが劇的に進化

製造技術の向上により、

  • ノイズの少ない回路
  • 高感度化
  • 高画質化

が一気に進みました。

昔は弱点だった画質が、大きく改善されたのです。


② 裏面照射(BSI)で感度アップ

現在のCMOSでは、
光を受ける面積を広げるために
裏面照射型(BSI)
という構造が採用されています。

これにより、以前より多くの光を効率よく取り込めるようになりました。
暗所性能が飛躍的に向上した理由の一つです。


③ 読み出し速度が圧倒的に速い

CMOSは各画素から直接データを読み出せるため、

  • 4K
  • 8K
  • 120fps
  • ハイスピード撮影

など、高速な映像記録が可能になりました。
現在の高解像度・高フレームレート撮影は、CMOSだからこそ実現できたと言っても過言ではありません。


④ 消費電力が少ない

CCDは電荷を順番に送り続けるため、多くの電力を必要とします。
CMOSは必要な部分だけを効率よく読み出せるため、

  • バッテリーが長持ち
  • 発熱も少ない

というメリットがあります。


⑤ 大量生産しやすい

CMOSはCPUなどと同じ半導体製造技術で作ることができます。

つまり、

  • 高性能
  • 小型
  • 安価

を同時に実現できるようになりました。
メーカーにとってもCMOSへ移行しない理由がなくなったのです。


CCDにも今なお愛される魅力がある

もちろん、CCDが悪かったわけではありません。
今でもベテランのカメラマンの中には、
「CCD独特の色が好き」
という方も少なくありません。

またCCDは一括で読み出す仕組みのため、現在のCMOSで話題になる
ローリングシャッター歪み(素早くパンしたときに建物が斜めになる現象)
が起きにくいという長所もありました。

しかし、それ以上にCMOSの進化が圧倒的だったのです。


「CMOSなんて安物」が、今では世界標準

現在では、

  • 映画撮影用カメラ
  • 放送局のカメラ
  • ミラーレス一眼
  • ビデオカメラ
  • スマートフォン

そのほとんどがCMOSを採用しています。

かつては「安物」と言われた技術が、改良を重ねることで世界中のプロフェッショナルに選ばれる技術へと成長したのです。


ワンポイント豆知識

実は、映像業界ではこのような「常識の逆転」が何度も起きています。

  • CCDからCMOSへ
  • HDVからAVCHDへ
  • SDからHD、そして4Kへ
  • HDDからSSDへ

最初は「新しいものは信用できない」と言われても、技術は着実に進歩し、いつの間にかそれが新しいスタンダードになります。

「CMOSなんて安物だ」と言われていた時代を知っている人ほど、今のカメラの性能には驚かされるのではないでしょうか。


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