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Dropboxに東京から謎のアクセス!?──意外すぎる犯人とは!!【お役立ちコラム】

約6分

事件は突然始まった。
ドコモの「あんしんセキュリティ」を何気なく確認していると、恐ろしい表示が出てきた。

「個人情報の流出を検知しました」

おいおい。
穏やかじゃない。

調べてみると、昔使っていたサービスからメールアドレスなどが流出した記録が見つかったらしい。
Twitterはメールアドレスのみ。
まあ、これはまだいい。

ところがDropboxを見てみると、
「一緒に流出した可能性がある情報:パスワード」
……パスワード!?

これはまずい。
Dropboxには仕事関係のデータも入っている。
慌ててDropboxのセキュリティ画面を確認してみた。

すると、そこにはさらに恐ろしいものが待っていた。


東京から謎のアクセス

Dropboxに接続されているデバイスを確認していると、一台だけ妙なものがある。
DESKTOP-C8LV84T

場所は、
Tokyo, Tokyo, Japan

そして最後のアクティビティは、
約1日前。
……昨日!?

私は名古屋にいる。
東京なんか行っていない。
しかも「DESKTOP-C8LV84T」なんてパソコン、知らない。
パスワードが漏洩している。
知らないパソコンがある。
東京から昨日アクセスされている。
すべての点が一本の線につながっていく。

やられた。

誰かがDropboxに侵入している。
しかも恐ろしいことに、Dropboxは2段階認証まで有効にしてある。
パスワードだけでは入れないはずなのだ。

いったいどうやって突破した!?
謎は深まるばかりである。


怪しい端末を削除する

とりあえず、こんな端末を放置しておくわけにはいかない。
Dropboxから「DESKTOP-C8LV84T」のリンクを解除した。

これでひとまず侵入者は追い出した。
あとはパスワードを変更して、ほかに怪しいアクセスがないか確認する。

……その前に。
念のため、自分が使っているパソコンの名前も確認しておこう。
Windowsの設定画面を開く。

そこにはこう書いてあった。
DESKTOP-C8LV84T

……。

…………。

俺じゃねえか。

しかも機種名まで、
Dell G15 5511

間違いない。
私のノートパソコンである。


ノートなのにDESKTOPって何だよ!!

ここで新たな怒りが湧いてくる。
お前、ノートパソコンじゃねえか!!

なぜ「DESKTOP-C8LV84T」などと名乗っているのだ。

実はWindowsでは、初期設定時などに
DESKTOP-XXXXXXXX
という形式のコンピューター名が自動的につけられることがある。

ここでいうDESKTOPは、必ずしも「デスクトップ型パソコン」を意味しているわけではない。

そんなことは知らない。
完全に謎のデスクトップPCだと思っていた。

しかし、これで端末の謎は解けた。

では、もう一つ。
なぜ名古屋にある私のノートPCが、東京にいたことになっているのか?

そこで思い当たるものがあった。


Speedify。

仕事でライブ配信をするとき、私はSpeedifyを使って複数回線をボンディングしている。
SpeedifyはVPNとして動作するため、通信は直接Dropboxへ届くわけではない。

ざっくり言えば、
名古屋のPC
↓
Speedify
↓
東京などにあるVPNサーバー
↓
Dropbox

という経路になることがある。

するとDropboxから見えるアクセス元は、
「名古屋にいる私」
ではなく、
「東京にあるVPNの出口」
になる。

つまり――

東京からDropboxにアクセスした謎の人物。

その正体は、
名古屋にいる私だった。


パスワード漏洩は本物だった

ただし、ここで話を全部笑い話にしてはいけない。
Dropboxの古いパスワードが漏洩した可能性があるという話は別件である。

こちらは念のため新しいパスワードへ変更した。
つまり今回の事件には、まったく別の二つの出来事が存在していた。

「昔のDropboxパスワードが漏洩した可能性」

そして、
「東京から見知らぬ端末がアクセスしているように見えた」

この二つが偶然同時に見つかった。

だから頭の中で、
パスワード漏洩
+
東京から謎のアクセス
+
知らないDESKTOP
=
何者かがDropboxに侵入した!!

という完璧なストーリーが完成してしまったのである。

しかし実際には、
パスワード漏洩 → 本当に注意が必要
謎のDESKTOP → 自分のDell
東京からのアクセス → Speedify経由だった可能性が高い
だった。

事実はすべて正しかった。
間違っていたのは、それらをつないだ私の解釈だった。


セキュリティ履歴の「場所」は現在地とは限らない

今回、ひとつ勉強になった。

GoogleやDropboxなどのセキュリティ画面に表示される「アクセスした場所」は、GPSでパソコンの位置を測定しているわけではない。

多くの場合、接続元のIPアドレスなどから推定されている。
VPNを利用していれば、実際にいる場所とは違う地域が表示されることもある。

だから、
「東京からアクセスされています」
と表示されたからといって、
東京に犯人がいるとは限らない。

もちろん心当たりのないアクセスなら確認した方がいい。

ただし、その前に一度考えてみよう。
VPN、使ってなかったっけ?


そして事件は解決した

パスワードを変更。
2段階認証も確認。
謎の端末の正体も判明。
東京アクセスの謎もほぼ解けた。
仕事のデータを盗み見る謎のハッカーなど、どうやら最初からいなかった。

犯人は――
自分。

トリックを仕掛けたのは――
Speedify。

そして事件をややこしくしたのは――
ノートPCなのに「DESKTOP」と名乗るWindows。

朝からとんでもないサイバー事件に巻き込まれたと思ったのだが、

蓋を開けてみれば、
名古屋にいる自分が、東京から自分のDropboxにアクセスして、自分でそれを発見して、自分で自分を追い出しただけだった。

セキュリティは大切である。

そしてもう一つ。
事件を疑う前に、自分のパソコンの名前くらい覚えておこう。


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