「肉眼では紫なのに、映像では青い…?」

先日、ダンスイベントの撮影でこんな出来事がありました。
舞台ではムービングライトによる鮮やかな紫色の照明が使われていたのですが、撮影した映像を確認すると、Panasonicのビデオカメラでは紫色が青っぽく記録されていました。
一方で、同時に撮影していたSonyのビデオカメラでは、肉眼で見た印象に近い紫色で映っていました。
最初は「Panasonicの設定がおかしいのかな?」とも思いましたが、調べてみると、実はカメラではよくある現象だったのです。
ホワイトバランスが合っていても色が違うことがある
今回の撮影では、どちらのカメラもホワイトバランスは3200Kで固定していました。
つまり設定はほぼ同じです。
それでも紫や青だけ見え方が違ったのは、ホワイトバランスの問題ではなく、
カメラの色づくりとLED照明の特性が大きく影響していました。
人間の目とカメラは色の見え方が違う
私たちの目は非常に優秀です。
多少照明の色が変わっても、
「これは紫だな」
「これは青だな」
と脳が自動的に補正して認識しています。
一方、ビデオカメラはセンサーで光を数値として記録しています。
そのため、人間には紫に見えていても、
カメラは「青成分が強い」と判断し、青色として記録してしまうことがあります。

最近の舞台照明はLEDが主流
今回使われていたのはムービングライトによるLED照明でした。
LED照明は省電力で非常に鮮やかな色を表現できますが、その一方で色の作り方が従来の照明とは異なります。
例えば「紫」といっても、
- 赤いLEDと青いLEDを混ぜて作っている
- 青成分が非常に強い
- 特定の波長だけを強く発光している
といった特徴があります。
人間の目にはきれいな紫に見えていても、カメラのセンサーでは青色として認識されやすい場合があります。
特にムービングライトのような高彩度な照明では、この現象が起こりやすくなります。
メーカーごとに色づくりが違う
今回比較したのは
- Panasonic AG-CX20
- Sony HXR-NX100
でした。
同じ3200K設定でも、
Sonyは肉眼に近い色に見え、
Panasonicでは紫が青寄り、水色寄りに見える場面がありました。
これは故障ではなく、
メーカーごとの色づくり(カラーチューニング)の違い
によるものと考えられます。
メーカーごとに
- 肌色を重視する
- 暖色を好む
- 青を鮮やかに表現する
など、それぞれ設計思想があります。
そのため、同じ照明でもメーカーによって色の印象が変わることは珍しくありません。
Sonyの方が正しかったの?
今回の現場ではSonyの方が肉眼に近く見えました。
しかし、これは
「Sonyが正しく、Panasonicが間違っていた」
という意味ではありません。
たまたま今回使用されていたLEDムービングライトと、Sonyの色づくりとの相性が良かった可能性があります。
照明の種類が変われば、逆の結果になることもあります。
つまり、
照明とカメラの相性
も舞台撮影では重要なポイントなのです。
編集で直せる?
もし映像全体が青いだけなら、ホワイトバランスの補正で比較的簡単に修正できます。
しかし今回のように
- 赤は正常
- 黄色も正常
- 紫だけ青っぽい
という場合は、一括補正では直りません。
色ごとに細かく補正する必要があり、他の衣装や背景の色まで変わってしまう可能性もあります。
舞台撮影では「すべての色を肉眼どおりに再現する」のは意外と難しいのです。
今回学んだこと
今回の経験で改めて感じたのは、
「ホワイトバランスが合っている=すべての色が正しく映る」
とは限らないということでした。
LED照明が主流となった今では、
- 照明の種類
- カメラメーカーごとの色づくり
- センサーの特性
これらが重なって、肉眼とは違う色に記録されることがあります。
今後は、舞台照明が特徴的な現場ではメーカーごとの色の傾向も意識しながら撮影し、必要に応じてシーンファイルや色設定の検証も進めていきたいと思います。
映像制作では、こうした「機材のクセ」を知っておくことも、安定した撮影品質につながる大切な経験だと感じました。
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