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「なぜフルサイズはボケる? センサーサイズと被写界深度の本当の関係」【お役立ちコラム】

約5分

「フルサイズは背景がよくボケる。」
「マイクロフォーサーズはピントが合いやすい。」

映像や写真を始めると、一度は耳にする言葉です。

実際、映画ではフルサイズやラージフォーマットのカメラが人気で、舞台撮影やイベント撮影ではマイクロフォーサーズが活躍する場面も少なくありません。

では、本当に
「センサーが大きいからボケる」
のでしょうか?

実は、答えは少し違います。


センサーサイズは「直接」ボケを決めていない

まず結論から言います。
センサーサイズそのものがボケを作っているわけではありません。

ボケる理由は、
「同じ構図で撮ろうとすると、レンズや撮影距離が変わるから」
なのです。


50mmレンズを付け比べてみる

例えば、
フルサイズとマイクロフォーサーズの両方に50mmレンズを付けたとします。
フルサイズでは人物の上半身がちょうど写る画角だったとしましょう。
ところがマイクロフォーサーズでは画角が約2倍狭くなるため、顔だけのアップになってしまいます。

この時点では、
ボケ方は大きく変わっていません。
単純に写る範囲が狭くなっただけです。


同じ構図にしたい!

では、マイクロフォーサーズでも同じ上半身の構図にしたい場合はどうするでしょうか?

方法は2つあります。

① カメラを後ろへ下げる

被写体との距離を離せば、同じ構図になります。

しかし、被写体から離れるほど被写界深度は深くなります。

つまり、
ボケにくくなる。


② 焦点距離の短いレンズを使う

フルサイズで50mmなら、
マイクロフォーサーズでは25mm程度で同じ画角になります。

ところが25mmというレンズは、50mmよりもともと被写界深度が深いレンズです。
これもボケにくくなる理由です。


実は2つ同時に起きている

マイクロフォーサーズでは、

  • カメラを少し後ろへ下げる
  • より短い焦点距離のレンズを使う

この2つが同時に起こります。

だから、
結果として背景がボケにくくなる。

つまり、
「センサーが小さいからボケない」
というより、
「同じ画角を作るための条件がボケにくい方向へ変わっている」
という方が正確なのです。


舞台撮影で人気なのも納得!

この特徴は、舞台撮影ではむしろ大きなメリットになります。

例えば舞台全景を撮る場合、
フルサイズでは24mmレンズを使う場面でも、
マイクロフォーサーズなら12mm程度になります。

12mmの超広角レンズは、もともと被写界深度が非常に深く、
演者が多少前後へ動いてもピントが外れにくくなります。

そのため、
発表会や演劇、講演会など、
「全体にしっかりピントを合わせたい」
という撮影では、小さなセンサーのカメラが今でも根強く支持されています。


映画でフルサイズが人気な理由

逆に映画では、
背景を美しくボカし、
人物だけを際立たせたい場面が数多くあります。

同じ構図なら、
フルサイズはより長い焦点距離を使え、
さらに撮影距離も近くできます。

その結果、
自然で大きなボケを作ることができます。

だから近年のシネマカメラはフルサイズ化が進んでいるのです。


F値にも秘密がある

ここでさらに面白い事実があります。

例えば、

  • フルサイズ:50mm F2
  • マイクロフォーサーズ:25mm F2

どちらもF2です。
それなのに、50mmの方が大きくボケます。

なぜでしょう?

それは、
F値は「穴の大きさ」ではなく「割合」だから。

50mm F2の絞りの直径は約25mm。
25mm F2では約12.5mm。

同じF2でも、
実際の光が通る穴の大きさは2倍違います。

だから50mmの方が広い角度から光を集め、大きなボケを生み出すのです。


まとめ

「フルサイズはボケる。」
これは間違いではありません。

しかし、その本当の理由は、
センサーが大きいからではなく、同じ画角を得るために撮影距離や焦点距離が変わるから。

つまり、
センサーサイズは”黒幕”ではなく、
**撮影条件を変化させる”演出家”**なのです。

この仕組みを理解すると、
「なぜ映画はフルサイズなのか」
「なぜ舞台撮影ではマイクロフォーサーズが便利なのか」

その理由が、経験ではなく光学としてスッと腑に落ちます。


編集後記

撮影現場では「フルサイズはボケる」「マイクロフォーサーズは全部にピントが来る」と経験則で語られることがよくあります。

でも、その裏には「同じ画角を作るために、焦点距離と撮影距離が自然と変わる」という、とてもシンプルで美しい光学の理屈が隠れています。

技術を「そういうもの」と覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか」を知ると、カメラ選びやレンズ選びがもっと楽しくなります。

そして気づけば、カメラは「光を集める箱」ではなく、「光を設計する道具」なのだと感じられるようになるはずです。


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