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原点回帰、原点回帰って……本当に原点に戻ってどうする!?【お役立ちコラム】

約6分

「行き詰まったときこそ、原点回帰だ」

仕事でも、スポーツでも、芸術でも、よく聞く言葉である。

初心を思い出せ。
基本に戻れ。
自分がなぜこれを始めたのかを思い出せ。

なるほど。確かに大切そうだ。

でも、ふと思った。
原点回帰、原点回帰って……ひょっとして本当に原点に戻ってるんじゃないでしょうね!?

だって、それでは振り出しに戻っただけではないか。

10年仕事をして、壁にぶつかって、「よし、10年前に戻ろう」。
いやいや。
10年間、何してたんだ。

最近「Frequency Guidance Cards」というアプリを入れて、
朝にカードを引いてアイデアや思考のネタとして使っている。

今日引いたカード「RETURN TO SOURCE」を眺めていたら、この「原点回帰」という言葉が少し違って見えてきた。

カードには、こんな意味が書かれていた。

新しい扉を開くためには、一つの扉を閉じなければならない。

古くなったものを手放し、新しい可能性を受け入れなさい。
そして、そのカードの名前が、

RETURN TO SOURCE――源へ帰れ。

なのだ。
新しい場所へ行くために、源へ帰る。
なんだ、この矛盾した言葉は。
でも、ここに「原点回帰」の本当の面白さがあるのかもしれない。


原点に戻っても、そこにいる自分は昔の自分ではない

たとえば、仕事を始めたばかりの頃を思い出してみる。

知識もない。
経験もない。
失敗もたくさんする。

それでも、
「これ面白いな」
「もっと上手くなりたいな」
「こんなものを作ってみたいな」
という、妙に純粋な気持ちがあったりする。

そこから経験を積む。

技術を覚える。
効率を考える。
お客さんの要望を考える。
失敗しない方法を覚える。
利益も考える。

そうしてプロになっていく。

もちろん、それは成長だ。

ところが経験を積めば積むほど、いつの間にかいろいろなものがくっついてくる。

「普通はこうする」
「昔失敗したから、これはやめておこう」
「時間がかかるからやらない」
「仕事なんだから、こういうものだ」

それらもまた、大切な経験から生まれたものだ。

でも、その積み重ねが増えすぎると、ときどき自分が何をしたかったのか分からなくなる。

そこで、
原点回帰。

ただし、ここで10年前の自分に戻ってはいけない。
戻るのは「自分」ではなく、問いなのだ。
「そもそも、なぜこれを始めたんだっけ?」
同じ問いを、10年分の経験を持った今の自分がもう一度考える。

すると、答えはきっと10年前とは違う。


人生は円ではなく、螺旋なのかもしれない

だから「原点回帰」という言葉を図にするなら、円ではないのだと思う。

円なら、
出発する。
ぐるっと回る。
そして同じ場所へ戻ってくる。

それでは、本当に振り出しだ。

でも、螺旋なら違う。

上から見れば、同じところをぐるぐる回っているように見える。
「また同じことで悩んでるな」
「結局また基本に戻ってきたな」
「昔もこんなこと考えていたな」

でも横から見れば、少しずつ高さが変わっている。

同じ場所に見えて、
前にここを通った自分とは違う。

経験した。
失敗した。
知識を得た。
人に出会った。
考え方が変わった。

それらを全部持ったまま、もう一度「原点」の真上を通る。

だから原点回帰とは、
過去へ戻ることではなく、原点をもう一度通過すること

なのかもしれない。


行き詰まったとき、新しいものを足す必要はないのかもしれない

人は行き詰まると、つい何かを足そうとする。

新しい技術。
新しい道具。
新しい知識。
新しい方法。

もちろん、それで突破できることもある。

でも、ときには逆なのかもしれない。

増えすぎたものを一度どけてみる。
「普通こうする」をどける。
「失敗したくない」をどける。
「効率が悪い」をどける。
「今さらそんなこと」をどける。

すると、その下から昔の問いが出てくる。

「そもそも、自分は何をやりたかったんだっけ?」

その問いに昔と同じ答えを出す必要はない。
むしろ、違っていていい。
昔の自分には見えなかったものが、今なら見えるかもしれない。

それこそが、螺旋を一周してきた意味なのだ。


新しい扉を開くために、原点へ帰る

「RETURN TO SOURCE」というカードには、
新しい扉を開くために、古い扉を閉じる
というメッセージが書かれていた。

最初は不思議だった。
新しいところへ行きたいのに、なぜ「源へ帰れ」なのだろう。

でも、もしかすると新しい扉というものは、まったく知らない場所に突然現れるわけではないのかもしれない。
ずっと昔から自分の中にあった問いを、今の自分でもう一度見つめたとき、
「あれ? 今なら、この先へ行けるんじゃないか」
と気づく。

そこに扉がある。
だから、行き詰まったときには原点回帰してみるのも悪くない。

ただし――
本当に昔の場所へ戻ってはいけない。
原点回帰とは、過去の自分になることではない。

経験も失敗も知識も全部抱えたまま、もう一度、自分が出発した場所を見に行くことだ。

人生が円ではなく螺旋なら、
そこは見覚えのある景色でありながら、前とは少し違って見えるはずだ。
そして、そこには前回は見つけられなかった扉があるかもしれない。

原点に戻るのは、元に戻るためではない。

次の扉を見つけるためなのだ。


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