
映画館で上映される映画。
皆さんは当然「動画ファイル」が再生されていると思いますよね。
実は私もそう思っていました。
ところが調べてみると、その仕組みは家庭で見るMP4やBlu-rayとはまったく違っていました。
なんと映画館では…
JPEG2000の静止画を1コマずつ高速で再生して映画を上映しているのです。
私たちが普段見ている動画
YouTubeやBlu-rayなどで使われているH.264やH.265は、とても賢い圧縮方式です。
例えば人物がほとんど動いていない場面では、
「背景は前のフレームと同じだから保存しなくてもいい」
というように、前後の画像との差分だけを記録しています。
だから高画質でも容量を小さくできるのです。
映画館は考え方が違う
映画館で上映される映画は「DCP(Digital Cinema Package)」という形式で納品されます。
DCPは映画全体をまとめたパッケージのようなもので、
- 映像
- 音声
- 字幕
- 再生情報
- 暗号化情報(必要に応じて)
などが含まれています。
そして、この映像部分に使われている圧縮方式がJPEG2000です。
JPEG2000が24枚、25枚…と並んでいる?
イメージするとこんな感じです。
1フレーム目 JPEG2000
↓
2フレーム目 JPEG2000
↓
3フレーム目 JPEG2000
↓
4フレーム目 JPEG2000
↓
……
24fpsの映画なら、
1秒間に24枚のJPEG2000画像が並んでいます。
つまり映画館のサーバーは、それらを高速に読み出して上映しているのです。
「それって昔の映画フィルムと同じでは?」
その通りです。
昔の映画フィルムも、
□ □ □ □ □ □ □
□ □ □ □ □ □ □
というように、写真が1コマずつ並んでいます。
映写機は
1枚止める
↓
光を当てる
↓
次の1枚
↓
光を当てる
これを1秒間に24回繰り返しています。
つまり、
映画はもともと「静止画の連続」だったのです。
デジタルになっても、その考え方を受け継いでいるのはなんだかロマンがありますね。
JPEG2000って何?
JPEG2000は、その名の通りJPEGの後継として2000年頃に開発された画像形式です。
通常のJPEGより
- 高画質
- 圧縮効率が高い
- ブロックノイズが出にくい
- 可逆圧縮にも対応
という優れた特徴を持っています。
ところが、
- 当時のパソコンには処理が重かった
- 対応ソフトが少なかった
- JPEGで十分だった
といった理由から一般にはほとんど普及しませんでした。
しかし、
映画館という「画質最優先」の世界では、その性能が高く評価され、現在でも標準として採用されています。
H.264との大きな違い
YouTubeなどで使われるH.264は、
前後の映像との差分を利用して圧縮します。
一方JPEG2000は、
1枚1枚が独立した画像です。
つまり1000フレーム目だけを表示したい場合でも、
JPEG2000ならその1枚を読むだけ。
H.264のように「前のフレームを展開して…」という処理が必要ありません。
そのため、
- どのコマも同じ品質
- フレーム単位で扱いやすい
- 映画館での安定した再生
といったメリットがあります。
実は昔のMotion JPEGに少し似ている
昔のデジタルカメラや一部の業務機器では、
Motion JPEG(MJPEG)
という動画形式が使われていました。
これは
JPEG
↓
JPEG
↓
JPEG
↓
JPEG
を順番に再生して動画にする方式です。
つまりDCPは、
JPEGではなくJPEG2000版のMotion JPEGのようなイメージと言えるかもしれません。
もちろん実際にはMXFという業務用コンテナに格納され、音声や字幕との同期も厳密に管理されているため、仕組み自体はもっと高度ですが、考え方としてはとても近いものがあります。
まとめ
「映画館では高性能な動画コーデックが使われている」
そんなイメージを持っていましたが、実際は少し違いました。
映画館の映像は、
JPEG2000で圧縮された高画質な静止画を1コマずつ連続再生するという、フィルム時代から続く考え方をデジタルでも受け継いでいたのです。
映像技術はどんどん進化していますが、その根底には100年以上前の映画の仕組みが今も息づいています。
そう思うと、映画館のスクリーンを見る目が少し変わってくるかもしれません。
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