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レンズの中にはレンズがいっぱい!?「 高価なレンズが高い本当の理由」【お役立ちコラム】

約5分

「このレンズ、20万円もするの!?」
カメラを始めたばかりの頃、多くの人が驚くことの一つがレンズの価格です。

しかも見た目は、ただの黒い筒。
「ガラスが1枚入っているだけなのに、なぜこんなに高いの?」

実は、この時点で多くの人が勘違いをしています。

レンズは1枚ではありません。


レンズの中にはレンズがたくさん入っている

「レンズ」と呼ばれていますが、
実際には何枚ものガラスが組み合わさってできています。

例えば標準ズームレンズでも10~20枚前後。

高性能な大口径レンズになると、
15枚以上ものガラスが入っていることも珍しくありません。

つまり、
一つのレンズの中には、
何十枚ものレンズが入っているのです。


なぜ何枚も必要なの?

「だったらガラスを1枚だけ良いものにすればいいのでは?」
と思いますよね。

ところが光は、とてもわがままです。

一枚のレンズだけでは、

  • 赤と青でピント位置がズレる(色収差)
  • 周辺だけボヤける(球面収差)
  • 四隅が流れる(コマ収差)
  • 樽型や糸巻き型に歪む(歪曲収差)

など、さまざまな問題が発生します。

そこで、
あるレンズが作った欠点を、
次のレンズが補正し、
さらにその次が補正し……
というリレーを何度も繰り返しているのです。


高級レンズほど設計が複雑

特にF1.2やF1.4のような明るいレンズでは、
レンズの端まで光を使います。

すると、
レンズの外側から入ってくる光は大暴れします。
メーカーは、その暴れる光まできれいに一点へ集めなければなりません。

そのため、

  • 非球面レンズ
  • EDレンズ
  • UDレンズ
  • 蛍石レンズ

など、
特殊なガラスが何枚も使われます。

さらに、
それぞれをミクロン単位の精度で配置しなければ、本来の性能は出ません。

だから高価になるのです。


実は「開放」が一番難しい

F1.4やF1.2で撮影すると、
レンズの中心だけではなく、
外側まで全部使います。

ところが、
レンズの外側ほど光を制御するのは難しくなります。

だから、
どんな高級レンズでも開放では、
少しだけ画質が甘くなることがあります。


少し絞ると画質が良くなる理由

F2やF2.8まで少し絞ると、
レンズの性能が最も良い中心部分だけを使うようになります。

その結果、

  • 解像感が上がる
  • コントラストが高くなる
  • 色収差が減る
  • 四隅までシャープになる

という変化が起こります。

レンズレビューで
「このレンズはF2.8が一番シャープ」
と言われるのは、このためです。


レンズメーカーの仕事は「光をだます」こと

考えてみると、
レンズメーカーが相手にしているのは光です。

しかも、
光は毎秒約30万kmという、とてつもない速さで進んでいます。

その光を、
何十枚ものガラスを通して、
ピクセル単位で同じ場所へ集める。

これがレンズ設計なのです。

ただの黒い筒の中には、
物理学、光学、材料工学、精密加工技術の結晶が詰まっています。


まとめ

レンズは、一枚のガラスではありません。

何十枚ものレンズが、
お互いの欠点を補い合いながら、
一本のレンズとして働いています。

そして明るいレンズほど、
より多くの光を、
より広い範囲から、
より正確に一点へ集める必要があります。

だから設計は複雑になり、
部品も増え、
加工精度も高くなり、
価格も高くなるのです。

レンズは、単なる「光を通す筒」ではありません。

光を操り、光を設計するための精密機械。

そう考えると、一本のレンズを見る目が少し変わってくるのではないでしょうか。


編集後記

カメラを始めた頃の私は、「レンズ」という名前から、ガラスが1枚入っているくらいのものだと思っていました。

ところが内部構造を見ると、小さなガラスが何枚も重なり合い、それぞれが役割を分担していることを知って驚きました。

そして、高価なレンズほど「よく見えるガラス」ではなく、「光を思い通りに操るための工夫」が詰め込まれていることも分かりました。

レンズは、まるで小さな光学実験室。
そう思うと、撮影のたびにレンズへ向ける見方も少し変わるかもしれません。


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