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高いレンズなのに開放は一番甘い!?「 絞ると画質が良くなる本当の理由」【お役立ちコラム】

約5分

「せっかくF1.4の明るいレンズを買ったのだから、いつも開放で撮るのが一番きれい。」

そう思っていませんか?

実は、多くのレンズでは
開放F値がもっとも画質が甘い
という意外な事実があります。

「えっ!? 高いレンズなのに?」

今回は、その理由を光学の仕組みから分かりやすく解説します。


レンズの中心と端では仕事が違う

レンズは一枚のガラスではありません。
何枚ものレンズで光を曲げ、1点に集めています。

しかし、光は素直ではありません。
レンズの中心を通る光は比較的まっすぐ進みますが、
外側を通る光ほど、

  • 色収差
  • 球面収差
  • コマ収差
  • 周辺減光

など、さまざまなクセが現れます。

つまり、
レンズの端ほど難しい仕事をしているのです。


開放ではレンズ全部を使う

例えば50mm F1.4。
開放ではレンズの中心から端まで、ほぼ全面を使います。

そのため、
どうしても端のクセまで写りに影響します。

結果として、
少しだけコントラストが低かったり、
四隅が甘かったり、
色にじみが出たりします。

もちろん高級レンズほどよく補正されていますが、
それでも完全になくすことは非常に難しいのです。


少し絞ると突然シャープになる

ここで絞りをF2やF2.8まで絞ると、
レンズの外側を使わなくなります。

つまり、
もっとも性能が良い中心部分だけを使う
ことになります。

その結果、

  • 解像感が上がる
  • コントラストが向上する
  • 色収差が減る
  • 四隅までシャープになる

という変化が起こります。

レンズレビューでよく見る
「このレンズはF2.8付近が最高画質」
という評価は、これが理由です。


では、どんどん絞ればいい?

ここで新たな疑問が生まれます。

「じゃあF16まで絞ればもっとシャープ?」
残念ながら、そうはいきません。

今度は
回折(かいせつ)
という現象が起こります。

絞り穴が小さくなりすぎると、
光は穴の縁で回り込もうとします。

その結果、
本来一点になるはずの光が少し広がり、
全体が少しずつ眠い画になります。

つまり、

  • 開放ではレンズの収差で少し甘い
  • 中間のF値では最もシャープ
  • 絞りすぎると回折でまた少し甘くなる

というカーブを描くのです。


実は「最高画質のF値」が存在する

レンズごとに多少違いますが、
多くのレンズは
開放から1〜2段絞ったあたり
が最も性能を発揮します。

例えば、

  • F1.4 → F2.8
  • F2.8 → F5.6
  • F4 → F8

このあたりが「スイートスポット」と呼ばれることもあります。

もちろん、作品づくりでは背景をボカすために開放を使う価値も十分あります。
大切なのは、
「画質だけを追求するなら少し絞る」という選択肢を知っておくことです。


映像制作ではどう考える?

舞台撮影や記録映像では、
背景を大きくボカすことよりも、
出演者全体にしっかりピントを合わせることが重要です。

そんな現場では、
F4〜F5.6程度まで絞ることで、
被写界深度だけでなく、
レンズ本来の性能も引き出せる場合があります。

一方、映画やポートレートでは、
多少画質が甘くなっても、
開放ならではの美しいボケ味や空気感を優先することもあります。

つまり、
「正解のF値」は一つではありません。

画質、被写界深度、ボケ味。
そのバランスを考えながら選ぶことこそが、レンズを使いこなす楽しさなのです。


まとめ

「高いレンズだから、開放が一番きれい。」
実は、それは少し違います。

開放ではレンズ全体を使うため、
どうしても収差の影響を受けやすくなります。

少し絞ることで、
レンズのもっとも性能が良い中心部分だけを使えるようになり、
解像感やコントラストが向上します。

しかし、絞りすぎれば今度は回折の影響が現れます。

だからレンズには、
**もっとも美しく写る”スイートスポット”**が存在するのです。


編集後記

「明るいレンズは開放で使うもの」と思い込んでいた頃、私も「少し絞った方が画質が良い」と知って驚きました。

レンズは「高価だから万能」ではなく、光をどのように使うかで表情が変わる、とても繊細な道具です。
F値は単なる明るさの数字ではありません。
光をデザインし、ボケをデザインし、そして画質までもデザインする。

そんな視点でレンズを見ると、撮影がもっと面白くなるはずです。


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