
「○○劇場」
「ミッドランドスクエア シネマ」
「シネマスコーレ」
映画館には「劇場」という名前が付いている施設が今でもたくさんあります。
でも、よく考えると少し不思議ですよね。
映画を見る場所なのに、なぜ劇場なのでしょうか。
実はそこには、映画が誕生した100年以上前の文化が今も受け継がれているのです。
昔の映画は「完成品」ではありませんでした
現在の映画館は、
映画データを受け取り、
プロジェクターで上映すれば、
全国どこでもほぼ同じ作品を見ることができます。
しかしサイレント映画の時代は違いました。
上映には映画のフィルムだけではなく、
- 活弁士
- ピアニストや楽団
- 映写技師
が必要だったのです。
つまり映画は、
上映して初めて完成する作品でした。
活弁士が物語を語る
当時の映画には音声がありません。
そこで活躍したのが「活弁士」です。
登場人物のセリフを話し、
物語を説明し、笑わせたり泣かせたりする。
今でいう声優とナレーターと司会者を一人でこなすような存在でした。
同じ映画でも、
活弁士が違えばまるで別の作品になるほど影響力があったと言われています。
音楽も生演奏でした
もちろんBGMもありません。
映画館にはピアノが置かれ、
上映中は演奏家が音楽を奏でます。
大きな劇場ではオーケストラが演奏することもありました。
場面に合わせてテンポを変え、
感情を盛り上げる。
これも上映には欠かせない存在でした。
そして映写技師
さらに驚くことに、
初期の映写機にはモーターがありませんでした。
映写技師がハンドルを手で回して、
映画を上映していたのです。
上映速度は現在のように機械が決めるのではなく、
人間の手によって調整されていました。
映画を見ることは、
まさにライブだったのです。
映画館というより劇場だった
こうして考えてみると、
当時の上映は
- 映画
- 活弁
- 生演奏
- 映写技師
全員で一つの公演を作っていました。
つまり映画館というより、
演劇やコンサートが行われる劇場に近い存在だったのです。
だから「劇場」という名前が自然だったのでしょう。
そして時代は変わる
音声映画(トーキー)が登場し、
活弁士はいなくなり、
生演奏も録音された音へ。
映写機もモーターで一定速度になりました。
技術は大きく進歩しましたが、
「劇場」という名前だけは今も残っています。
名前には歴史が残っている
現在では映画館でライブ演奏が行われることはほとんどありません。
それでも
- ○○劇場
- ミニシアター
- シネマ
といった呼び方は今でも当たり前に使われています。
実はこれらは、
100年以上前の映画文化の名残なのです。
まとめ
普段何気なく使っている「劇場」という言葉。
その由来をたどると、
映画は最初から「映像を見る場所」ではなく、
人が集まり、一緒に作品を作り上げるライブ空間だったことが見えてきます。
映画館を「劇場」と呼ぶのは、
単なる昔の呼び名ではありません。
そこには、活弁士や演奏家、映写技師たちが観客と一緒に映画を作り上げていた時代の記憶が、今も息づいているのです。
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