
「何を言ってるんだ?」
そう思った人もいるだろう。
もちろん、ドリフターズがプロレスをしていたわけではないし、WWEがコント番組というわけでもない。
しかし、私はWWEを見るたびに、日本がかつて誇った伝説の番組『8時だョ!全員集合』を思い出す。
一見すると全く違う。
でも、映像制作の視点で見ると、不思議なくらい共通点が多いのだ。
『8時だョ!全員集合』は、毎週のように巨大な舞台セットを組み、生放送でコントを披露していた。
学校だった建物が次の週には旅館になり、さらに翌週には宇宙船になる。
照明、音響、カメラ、スイッチング、美術、大道具、小道具、演者。
何百人ものスタッフが、一時間半の生放送のためだけに力を合わせる。
しかも、それを毎週。
今では考えられない制作規模だった。
個人的な印象ではWWEも同じだ!
数万人を収容するアリーナ。
巨大なLEDステージ。
選手ごとに異なる照明。
炎や花火のパイロ演出。
数十台ものカメラ。
生放送で切り替えられる映像。
映画の予告編のような煽りVTR。
そして、リング上で繰り広げられる試合。
これだけでも十分すごい。
しかし、本当に恐ろしいのは、
これを毎週やっていることだ。
しかも、WWEは単なる試合中継ではない。
何か月も前から張られた伏線があり、
裏切りがあり、友情があり、因縁があり、
観客は歓声を上げ、
「You suck!」
「This is awesome!」
「Holy shit!」
と、一緒にショーを作っていく。
観客まで演出の一部なのだ。
これは、ドリフが会場の子どもたちの笑い声で完成していたのと、どこか似ている。
加藤茶が一言しゃべれば笑いが起こる。
志村けんに「志村!うしろ~」と叫び、志村の死アクションに会場が沸く。
舞台の上だけでは作品は完成しない。
客席まで含めて、一つのライブなのだ。
映像屋として見ると、私はスーパースター(レスラー)の技よりも、
「このタイミングでカメラを切り替えた。」
「ここで観客のリアクションを抜いた。」
「この煽りVTR、映画みたいだ。」
そんなことばかり考えてしまう。
そして毎回思う。
「これ、本当に毎週やってるの?」
と。
『8時だョ!全員集合』は、昭和という時代が生んだ、日本最高峰のライブエンターテインメントだった。
そして令和の今、その魂を世界規模で受け継いでいる番組があるとしたら、
私は迷わずWWEを挙げる。
プロレスが好きだからではない。
映像が好きだからでもない。
「ライブエンターテインメント」という文化が好きだからだ。
昔、私たちは毎週土曜日になるとドリフを見て笑っていた。
今、世界中でWWEのイベントを会場で、配信で何万人もの人が歓声を上げている。
形は違う。
文化も違う。
でも、
「今、この瞬間しか生まれない熱狂を、最高のスタッフたちが本気で作っている。」
という一点だけは、驚くほど同じだ。
だから私は今日も思う。
WWEは、現代に残された『8時だョ!全員集合』なのかもしれない。
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