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120Hzの秘密は、性能が2倍になったことじゃない。――テレビそのものが「別の生き物」になっていた【お役立ちコラム】

約4分

最近、テレビやパソコンのモニターを見ると、

「120Hz」
「144Hz」
「240Hz」

という文字を見かけるようになりました。
「60Hzの2倍だから、性能も2倍なんだ。」
そう思っていました。

でも、それは少し違いました。

私が驚いたのは、性能ではありません。
テレビそのものの仕組みが、いつの間にかまったく別のものになっていたのです。


私の中では、テレビは60Hzだった

学生時代に学んだテレビの知識は、こうでした。

テレビは約60回(正確には59.94回)画面を描き直す。
その理由は、家庭用コンセントの60Hzという電気のリズムに合わせるため。

蛍光灯も同じように電気のリズムに合わせて明るさが変化する。
だから映像制作では、シャッタースピードや照明との相性に気を配る。

私の中では、それが「テレビ」という存在でした。

だから最近、
「120Hz」
という言葉を聞くたびに、
「え? 電気は60Hzなのに、どうやって120Hzで表示しているの?」
と不思議に思っていたのです。


ところが、前提そのものが変わっていた

調べてみると、驚きました。
今の液晶テレビや有機ELテレビは、昔のブラウン管テレビとはまったく違う仕組みで動いています。

昔のテレビは、家庭の交流電源のリズムに大きく影響されていました。
しかし現在のテレビは、一度交流を直流へ変換し、内部の電子回路が表示タイミングを自由に制御しています。

つまり、
60Hzという「制約」から解放されていたのです。

だから、
75Hzでも、
120Hzでも、
144Hzでも、
240Hzでも。
必要に応じて自由に表示できる時代になっていました。


性能が変わったのではなく、思想が変わった

私はずっと、
「120Hz=60Hzの性能アップ版」
だと思っていました。

でも実際は違いました。

それは車のエンジンを大きくしたような進化ではありません。
ガソリン車が電気自動車になったくらい、根本から仕組みが変わっていたのです。

だから120Hzという数字だけを見ても、本質は見えていませんでした。

本当に変わったのは、
テレビという機械の考え方そのものだったのです。


映像技術は「制約との戦い」の歴史

振り返ると、映像技術はいつも制約と戦ってきました。
ブラウン管は電気のリズムに合わせる必要がありました。
蛍光灯も電源周波数に影響されました。
カラー放送では59.94fpsという中途半端な数字が生まれました。

しかし技術は少しずつその制約を乗り越えていきます。

そして今では、60Hzという「当たり前」さえ、過去のものになりました。


知識は古くなったのではない

今回一番印象に残ったのは、
「自分の知識が間違っていた」
ということではありません。

昔の知識は、その時代では正しかった。
ただ、技術がその先へ進んでいただけだったのです。

だから新しいことを学ぶたびに、「昔の自分は何も知らなかった」と落ち込む必要はありません。

むしろ、
「なるほど、今はそんな時代になったのか。」
そうやって知識を更新していくことこそ、映像という世界の面白さなのだと思います。
私にとって120Hzとは、「性能が2倍になった技術」ではありませんでした。

テレビそのものが、いつの間にか別の生き物へ進化していたことに気づかされた瞬間だったのです。


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