
「水は0℃で凍ります。」
学校で誰もが一度は教わった言葉です。
もちろん、間違いではありません。
……でも、ずっと引っかかっていたことがあります。
「そんな都合よく、0℃で凍るわけないだろ!」
ということです。
よく考えてみると、不思議ではありませんか?
水は地球が誕生するはるか昔から存在しています。
人間が温度計を発明する何億年も前から、水は凍っていました。
なのに、まるで自然が「0℃になったから凍ろう」と決めていたかのように教えられます。
そんなはずはありません。
順番は逆です。
水が凍る現象が先。
その温度を人間が「0℃」と名付けた。
それだけなのです。
考えてみれば、「0℃」という数字は自然界には存在しません。
存在するのは、
「氷になる」
という現象だけです。
人間はその現象を基準に、
「ここを0にしよう。」
と約束しました。
さらに、水が沸騰する温度を100と決め、その間を100等分した。
だから私たちは今、「25℃」や「38℃」という数字を使っているだけなのです。
つまり、
数字は自然のルールではなく、人間が付けた名前。
これは温度だけではありません。
1メートルも、
1秒も、
1キログラムも、
すべて人間が決めた基準です。
自然界には「1メートル」という長さは存在しません。
私たちが世界を理解しやすいように、共通の物差しを作っただけなのです。
学校では「水は0℃で凍る」と教えます。
それで十分なのかもしれません。
でも私は、こう教えてほしかった。
「水が凍る温度を、人間は0℃と呼ぶことにしました。」
たったそれだけで、
「数字は人間が決めたものなんだ。」
という見え方ができます。
世界は数字でできているのではありません。
数字は、人間が世界を理解するために発明した”言葉”なのです。
そして、この話を知ってから、私は少しだけ世界の見え方が変わりました。
「水は0℃で凍る。」
そうではない。
水は昔から凍っていた。
その現象に、あとから人間が「0℃」という名前を付けただけ。
たったそれだけの違いなのに、世界が少しだけ面白く見えてくるのです。
ちなみにセルシウス本人は逆だった
ここで一つ、とんでもない事実を紹介しておきたい。
現在使われている「℃」の名前の由来となったアンデルス・セルシウス。
彼が1742年に提案した温度尺度では、
水の凍る温度と沸騰する温度の間を100等分した。
ここまではいい。
しかし彼は、
水が沸騰する温度を0℃。
水が凍る温度を100℃。
とした。
今とは逆である。
寒くなればなるほど数字が大きくなる。
「今日は冷え込んで100℃近くまでいきそうですね」
文字だけ見たら灼熱地獄である。
しかも話はこれだけでは終わらない。
セルシウス以前にも、水の凍る温度を0とした温度尺度は存在した。
レオミュールは「凍結0・沸騰80」。
さらにニュートンまで「水が凍り始めるところを0」とする独自の温度尺度を考えていた。
18世紀初頭には、なんと30種類を超える温度尺度が存在していたという。
度計戦国時代である。
人類は長いこと、
「お前の0℃と俺の0℃、全然違うじゃねぇか!」
という世界を生きていたのだ。
やがて現在のような「凍結0℃・沸騰100℃」という分かりやすい尺度が広まっていった。
だからやっぱり、こういうことなのだ。
水は0℃だから凍っているわけではない。
水は、人類が温度なんてものを数字で表すはるか昔から、勝手に凍っていた。
そして後から人間たちが集まって、
「よし。そこを0ということにしよう」
と決めたのである。
自然「知らんがな。」
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