
今日は、たった一つの違和感から始まった。
「復讐は何も生まない。」
そんな言葉に、どうしても納得できなかった。
復讐は何かを生む。
少なくとも、自分の中のバランスを取り戻そうとする心は生まれる。
そんな話から始まって、気が付けば『ベニスの商人』『羅生門』『こころ』、そして『ジョジョの奇妙な冒険 スティール・ボール・ラン』まで話は広がっていた。
とても感慨深い不思議な一日だった。
『ベニスの商人』は、どうしても納得できなかった……。
契約なら契約として裁くべきではないのか!
途中でルールを変え、勝った側がさらに相手を追い詰める。
何百年も愛される作品なのに、私はずっと心のどこかで引っかかっていた。
一方、『羅生門』は違った。
死人から髪を抜く老婆。
その老婆から着物を奪う下人。
善悪はともかく、一本の論理が通っている。
だから私は納得できた。
『こころ』も同じだった。
Kが先生へ向けた
「精神的向上心のないやつは馬鹿だ。」
という言葉。
その言葉を先生は一生背負い続ける。
悲劇なのに、どこか納得できる。
その違いは何なのだろう。
考え続けた末に、一つの言葉へたどり着いた。
納得とは、解釈が完了した状態なのではないか。
人は分からないことがあると考え続ける。
「あの人はなぜあんなことをしたのか。」
「あの作品は何を伝えたかったのか。」
そしてある日、
「なるほど、そういうことだったのか。」
と思えた瞬間、心は少しだけ静かになる。
事実は変わらない。
変わるのは、自分の中の解釈だけ。
その瞬間を、私は「納得」と呼んでいたのかもしれない。
そんな話をしている途中で、ふと思い出した。
『ジョジョの奇妙な冒険 スティール・ボール・ラン』のジャイロの言葉。
「オレは『納得』したいだけだ。」
調べてみると、さらに驚いた。
作者である荒木飛呂彦先生自身が、
「『納得』する事が必要で、ジャイロもジョニィも『納得』する為にこのレースに出ている。それがこのマンガのテーマ。」
と語っていた。
あの言葉は偶然ではなかった!
あれは作品そのもののテーマだったのだ。
そして、私はようやく長年引っかかっていたエンディングの意味を勝手な推測だが言語化できるようになった。
ジャイロが助けようとしていた少年は、恩赦を受ける。
でも、その後あっけなく命を落とす。
初めて読んだときは、
「せっかく助けたのに。」
と思ったこともある。
でも今なら少し違う。
もし少年が元気に生き続けていたら、
物語は「努力は報われる」という話になってしまう。
でも、この作品のテーマは違う。
結果ではなく、自分が納得できる生き方を選べたか。
そこにあったのだ。
私は今日、一つ大切なことに気付いた。
結果は、納得を保証しない。
成功しても納得できない人はいる。
復讐を果たしても納得できない人はいる。
裁判に勝っても納得できない人はいる。
逆に、結果は悲劇でも、
「私はこの道を選んだ。」
そう思える人生もある。
もちろん、世の中には納得できない出来事もある。
突然、大切な人を失うこと。
事故。
災害。
子どもの死。
そこに答えはない。
解釈が完成しない出来事もある。
だから人は苦しむ。
だから文学があり、哲学があり、宗教があり、心理学がある。
人間は真理を求めているように見える。
でも、本当に求めているものは何なのだろう。
私は今日、一つの答えにたどり着いた。
真理に近づきたいのではない。
納得したいのだ。
真理を知れば納得できるかもしれない。
だから真理を探す。
つまり、人間が本当に求めているものは、真理そのものではなく、
「自分が納得できる解釈」
なのかもしれない。
だから私は、本を読む。
映画を見る。
人と話す。
考え続ける。
正解を知りたいからではない。
誰かに勝ちたいからでもない。
ただ、自分の人生に納得したい。
そのために、人は物語を求めるのかもしれない。
そして私は、この一文を忘れないようにしたい。
人は何によって、自分の人生に納得するのか。
もしかすると、それこそが人生という物語の、本当のテーマなのかもしれない。
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